春日山原始林と地獄谷石窟仏 -世界遺産検定課外学習-

 このあいだ春日山原始林を歩いてきた。

 このブログで何度も書いているが、今世界遺産検定なるものの1級の勉強に励んでいる。そこで日本の世界遺産に実際に触れてきたので体験記をば載せてゆこうと思う。課外授業だ。

いにしえより護られてきた森

 春日山。それは春日大社のまわりから東方に広がる森と山。春日大社の神域・聖域である。 841年に伐採と狩猟を禁じられて以来、千年以上、一帯に広がる原生林が今日まで護られ続けている。

 原生林を堪能するには春日大社に続く参道を東に進み春日大社本殿を左手に通り過ぎてそのまま紀伊神社や若宮神社などの小規模な社(ヤシロ)がある小道を散策するという方法がある。しかしこれは原生林のほんの表面しか触れていない事になるのでもっと奥に進む路を探った。

柳生街道をゆく

 春日原始林の南に柳生街道という古くからの道があり、途中から原始林の中を通ってゆく。能登川いう小さな川沿いに道が続くのだ、その辺りの道を特に「滝坂の道」と呼ぶようだ。そこから原始林散策を開始した。

春日山原始林碑

 民家の間を通る道が、あるところで森の中に入る。少し進むと「天然記念物春日山原始林」なる石碑が分かりづらい場所に建っていた。

 山の中に入ってきたなという感じ、木々は色んな方向から生え、足元に平らなところはなく、川沿いなので道も水気を帯びていた。靴が湿る。 

 ここに来る前にもちろんGoogle Map等の地図で道のりを確認してきたのだが、普段山歩きとかしない自分は重大な事を見落としていた。地図の道のりに高低差が加わってくるということを加味し忘れていたのだった

 この滝坂の道は昔から物資の運搬や人々の往来があった重要な道で、江戸時代に敷かれた石畳が随所に残っている。ただ能登川を沿うように右へ左へと何度もを渡るのだがさすがに木製の橋なんかは少なく、後の時代にコンクリートの橋に置き換えられているという感じだった。

 夏に来る予定だったけれど、季節は10月の終わり。 でも意外にも森の木々の緑がとても深くて、マスクをはずして深呼吸するととてもきもち良かった。登り坂も良く歩き、だんだん体があったまって程よく汗ばんできた。

 逆に夏場だったら汗が止まらなかったと思うし、蚊にも相当刺されていただろう。この季節に訪れてよかった。

 側を流れる能登川もとても涼しげで流水の音が心地よかった。

石仏たち

首切り地蔵<wikipediaより転載>

 滝坂の道や春日山原始林界隈には石仏が点在している。寝仏や夕日観音、朝日観音、首切地蔵など様々だ。しかし寝仏や夕日観音は実際に探したがあまりよく分からなかった。

 朝日観音や首切地蔵はわかりやすい、特に首切り地蔵は道の分岐点に佇んでいるのですぐに確認できる。荒木又右衛門という剣豪が試し斬りをしたという伝承がある石像だ。

 首切り地蔵から向こうは道が分かれたり繋がったりが多く、初めての人を混乱させる。
道しるべ通りに進んでも結構不安になる。

春日山石窟仏と地獄谷石窟仏

春日山石窟仏と地獄谷石窟仏

 今回の大きな目的のひとつ、それが春日山石窟仏と地獄谷石窟仏を見に行くというもの。地獄谷石窟仏ってなんか言葉の響きがメチャカッコイイ。

 しかし先ほどの首切り地蔵から7分くらいで春日山石窟仏の目の前まではたどり着いたのに、石仏に続く(登る?)為の木材の設備(おそらく階段とかスロープ)が壊れていて目的地の直前で立ち入り禁止になっていた。めちゃくちゃ残念。

 春日山石窟仏をあきらめて地獄谷石窟仏へ向かう、一旦原始林から高円山ドライブウェイという車道に出て車道沿いに5~6分歩いてゆく。

 アスファルトに溜まった落葉達が車の往来が少ないことを物語っている。

少し歩くと大きな案内版が。。ここからまた森の中を進む。倒木が激しかったり、細道のど真ん中に大木が生えていたり、やりたい放題の森。

 車道より森林を歩くこと5分、ついに目的地にたどり着きました。

地獄谷石窟仏

 切り出された岩の奥に描かれた壁画のような仏たち。釈迦如来や薬師如来、平安時代の作品だといわれている。そんなに古くしかも屋外にあるにもかかわらず、ちゃんと色彩が残っているとこに驚き。

 実際には石窟仏の目の前にはフェンスが施してありさわりに行くことは出来ないようになっている。フェンスの間から頑張って凝視する、という感じだ。笑

今回の経路とまとめ

滝坂の道の地図

 近鉄奈良駅から春日大社まで10分~15分。春日大社から奥に進み南下して一般道に出る。そこから東に進む。途中道なりに行くと滝坂の道じゃない道から山に入るので注意(上図の※)
 しばらく行くと民家が途切れて山道に入る。そこから徒歩30から45分くらいで地獄谷石窟仏にたどり着く。

 つまり奈良駅からだと1時間半、ゆっくり景色を味わいながらだと2時間弱というところだろうか。
靴は運動靴やスニーカーで大丈夫だが、川の近くで濡れる。さらに濡れた石畳は滑りやすいので結構汚れても平気な靴がベスト。

 道も割りと登り坂が続くが急峻というわけではない。しかしサイトや現地案内板に描かれている以上に裏道というか分かれ道が多くて少し迷ってしまいそうだった。なので道のりの確認はしっかりするほうが良い。

 自分が訪れたのは10月末だったが十分緑が綺麗で過ごしやすかった。

 リモートワーク等で固まった身体をほぐすのには丁度いい。皆さんも是非行ってみて欲しい!

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