ノンフィクションをジャケ買いしたあの時。-奇跡のリンゴ-

 自分はたいして読書家でもない。

 自分は中学校時代には赤川次郎の推理小説、あと有栖川有栖を少し読んだりしていた。ただ高校や大学ではほとんど読書たる事をせずに過ごしていた。

 大学を卒業して、「本が好きだ」とか「趣味は読書です」って言いたくてまた読書を再開した。だから無類の本好きというわけでもないし、めちゃくちゃ読んでいるわけではない。

 でもちょくちょく読んでいるのは事実。というのも自分でも理由が良くわからないが、ゲームは全然やならいし、漫画もほとんど読まない。ゲームは子供の頃のスーパーファミコン止まりで、全巻読破した漫画は、金田一少年の事件簿と稲中卓球部、どろろ、寄生獣、うずまきぐらいのものだ。

 だから、、という理由が正しいかはわからないが、趣味嗜好が少ない(音楽はめっちゃ好きだが)。なので読書もしておかなければと思い直した20代半ば、物語的なものばかり読んでいるのもダサいと思った自分はノンフィクションを読み漁ることになる。


 その時に出会ったのがこの『奇跡のリンゴ -「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録』という本だった。

 元々、リンゴというのは他の野菜・果物と比べても残留農薬が多く、農薬を使わずに育てるのは不可能とされてきた果物。 そんなリンゴの常識を覆し世界で初めて無農薬でリンゴ栽培に成功した木村秋則氏のこれまでの道のりを記した本だ。

 青森、70年代の後半にリンゴの無農薬栽培にとりかかるも8年の無収穫・無収入の苦難を乗り越えてついに無農薬栽培に成功するという話。

 この本は2006年、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で放送され、等番組開始以来の大反響を呼んだ。番組では紹介しきれなかった内容がたくさんある事や番組キャスターの茂木健一郎氏の提案で2008年に書籍化に至る。自分が購入したのも2008年か09年頃だったと思う。

 農業の専門書籍というよりもヒューマンストーリー

 実は木村秋則さんの著書はたくさん存在する。この本の1年前、2007年には自身の著作で『自然栽培ひとすじに―無農薬・無肥料の技と心』という本を出されている。その後にもいくつも書籍をだされており、自身の著書約10冊、関連書籍が4冊もある。

 この「奇跡のリンゴ」は石川拓治というノンフィクションライターの著作だが木村秋則さん関連の書籍の中で最も売り上げている。

 

 それはこの著書が農業の専門的知識や用語をなるべく控え、木村秋則という人物についてを軸に判りやすい言葉でドラマチカルに描かれているからだろう。それが世の中に響いたんだと思う。また表紙の写真やデザインもとてもいい。200ページ弱で、購入後あっという間に一気読みしてしまった。

 自分の本棚にある書籍の中でもとても好きな一冊。木村氏の農業界での知名度はとても高く多くの支持者もいる。❝バカになればいい❞(本文引用)といった少し抽象的な表現も散見されるので、彼にどっぷり心酔しているという事はないが、自分のモチベーションを上げるガソリンになる本なので時々読み返している。

 魅力的な一冊なので是非読んで欲しい。とてもおすすめだ!

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